極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
 その笑顔はあまりにもまぶしくて、繭の胸に鮮烈な印象を残す。もう少しだけ彼と話がしたい、この笑顔を見ていたいと繭は強く思った。その衝動に突き動かされて、繭は樹を呼び止めた。

「あのっ、払います。今……払わせてください」

 口から飛び出た言葉は繭自身にも想定外のものだった。樹もひどく驚いたのか大きく目を見開いた、かと思うとすぐにくっと白い歯を見せて笑った。

「いい度胸じゃん。そっちがその気なら、この身体好きにさせてもらう」

 ふたりを乗せたエレベーターは上層階のエグゼクティブフロアで停まった。万が一、事務所の誰かに遭遇したらどうしようと繭は気が気でなかったが樹は涼しい顔だ。

「あんた独身だろ? 俺もそうだし、見られてもなにも問題ない」

(問題はありまくりだと思うけど……)

 樹は一番奥の部屋の前で足を止めると、カードキーをかざして扉を開ける。エスコートするように繭を部屋のなかへといざなう。

「うわぁ」

 繭は思わず感嘆の声をあげる。普通のダブルルームよりあきらかに豪華な部屋だった。夜景の望めるリビングルームとは別に奥に寝室があるようだった。
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