極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
(高坂先生だからってわけじゃないけど……やっぱり家に男性がいると安心って意味で)

 誰に聞かれたわけでもないのに、繭は心のなかで必死にそんな言い訳をする。

「じゃあ、話を聞かせてくれるか? 警察に届けるべきかどうか、判断したい」

 樹はすっかり弁護士の顔になって繭に向き合った。この話をするために彼は家にあがったのだ。繭は川口のことを彼に伝える。と言っても、話すことなどほとんどない。彼は事務所のクライアントというだけで、繭は川口のことなどなにも知らないのだ。

 話を聞いた樹は悩ましげな表情でこめかみをトントンと叩いた。彼のこの仕草は、繭にも見覚えがある。難しい案件にあたるとき、彼がよくする癖だった。繭のことを真剣に心配してくれているのだと思うと、うれしいような申し訳ないような複雑な気持ちになる。
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