極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
(私って、冗談じゃなく高坂先生の疫病神なのかも……)

「やっぱり、ストーカーか」

 樹は次に、自分の行動について説明した。繭の後ろをコソコソついてくる川口を見て不審に思ったが、知り合いの可能性も考えて少し様子をうかがっていた。だが、繭の怯えぶりからそうではないと確信してとっさに夫のふりをしたのだと語る。

「最初は痴漢かと思ったんだが、ストーカーとなると……夫のふりは愚策だったかな」

 もっといい対応があったかもと後悔している様子の樹に、繭はきっぱりと首を横に振る。

「いいえ。本当に助かりました」

 樹は探るような目で繭を見て、続ける。

「あいつのその離婚問題ってのは本当なのか? 最初からあんたが目的だったってことはない?」
「こ、怖いこと言わないでくださいよ~」

 ぞっとする樹の意見に繭はおびえながらも、必死に頭を巡らせた。しばし考え込んでから、ゆっくりと口を開く。

「それはない……と思います」

 妻の不倫に打ちひしがれていた川口の背中が演技だったとまでは思えない。樹は細く息を吐いて繭を見据える。

「とりあえず近くの交番に連絡はしよう。ただ、この業界にいるあんたはよく知ってると思うが、ストーカー問題では警察はなかなか動いてくれないんだよ」
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