極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「旬太を産んですぐ、性格の不一致で……だから今は旬太とふたり暮らしです」

 樹は小さく息を吐くと、ぼやくように言う。

「あんた、めちゃくちゃ男運悪いんだな」
「え?」
「以前も変なのに絡まれてたし」

 変なのとは、卓也のことだろうか。過去を思い返してみても、男運の悪さは否定できないところがあり繭はうつむき黙り込む。すると、樹がふっと苦笑を漏らした。

「ま、家の前で待ち伏せしてた俺もそのうちのひとりか」

 繭はばっと顔をあげて樹を見つめ、勢いのままに口を開く。

「高坂先生は違います! その……いつも助けてもらって、感謝しています」

 今日だって樹が待ち伏せしてくれていたから、繭と旬太は助かったようなものだ。そこで、はたと気がつき繭は樹に問う。

「あ、でも高坂先生はどうしてうちに?」
「あぁ。左足、軽い捻挫だったんだけど、だいぶよくなったからその報告に」

 繭はほっとして口元を緩ませた。

「よかったです! でも、それなら電話で大丈夫でしたのに」

 樹は熱をはらんだ瞳で繭を見つめて低くささやく。

「――会いたかったから」

 どくんと大きく心臓が跳ねる。美しい樹の瞳の吸引力にあらがえなくて、繭は身じろぎもできずに彼を見つめ返す。すると、樹がふっと肩を揺らして膝に抱えた旬太の頭をくしゃくしゃと撫でる。
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