彼と私のお伽噺

「行くところがないなら、俺のマンションに一緒に住め」

「え?」

「衣食住は全て面倒見てやるし、学生のあいだは教育費も支援してやる」

「でも、そんなご迷惑は……」

 昔と変わらず物言いは偉そうだけど、頼もしい言葉に心音がドキドキと速くなる。

 私は元家政婦の孫で、昴生さんに会うのは一年ぶり。それなのに、こんなにも優しい言葉をかけてもらえるなんて嘘みたいだ。

 昔は昴生さんにパシリとしてぞんざいに扱われてきたけれど、社会人になった彼は世間の荒波にもまれて、親切で立派な青年になられたんだ……! 

 そう思って感動したのもつかの間。覚えのある低い笑い声が聞こえてくる。

 なんだか嫌な予感して恐る恐る顔をあげると、昴生さんが、にやりと何やら黒い笑みを浮かべていた。

「もちろん、タダで、とは言ってない。この先、お前の面倒は俺が見てやる。お前はその分、一生かけて俺に奉仕しろ」

「は……? 奉仕?」

 それはつまり────、生活の保障と学費の工面をするかわりに、これから一生、昴生さんに仕えろってこと……?

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