彼と私のお伽噺

 一瞬考えて、慌てて逃げ出そうとした私の身体を、昴生さんが両腕でがっちりとホールドする。

「逃がすかよ。お前はもう、俺のものだからな」

 そんなこんなで、私はTKMグループの御曹司様に強制的に囚われてしまった。

 祖母の葬儀後、昴生さんの手配で即日彼のマンションへと引っ越した私は、そこから五年間、約束どおり彼に養ってもらい、大学まで行かせてもらった。

 その見返りとして、料理、洗濯、掃除など、昴生さんのそばで奉仕することを条件に。

 子どもの頃に私を助けてくれた人は、大人になってもとんでもないオレ様王子だった。

 そしてそれは、強引に婚姻届を突きつけてきている今もやっぱり変わらない。

< 14 / 105 >

この作品をシェア

pagetop