魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
「今日は、まだ食料を集めていません」
「大丈夫。食べる物ならあるからね。みんなが頑張って実をつぶしてくれている間に、準備したから」
 準備といっても、収納鞄から出してちょっと火であぶっただけ。
「え?ユキお姉ちゃんが一人で準備したの?」
「わー、ナニコレ?」
 ……説明、したくないけれど、仕方がない。
「剣の、えーっと、精霊様の好物なの」
『ちょ、なんでそうなるの?僕好きじゃないよ!ユキがまずい物ないかっていうから教えたやつだよ、まずいんだよ、好きじゃないんだよっ!』
 ディラが必死に訴えている。
「あまりおいしくはないんだけれど、なんかのしっぽの干したやつらしくて……」
 見た目はネズミのしっぽだよね。長くて蛇みたいでもある。ぶっちゃけ、気持ち悪くて本当は何なのか確認するのも怖くてディラに詳細は聞いていない。
 ウナギ、ウナギ、これはウナギ、と、必死に自分をだましているところだ。……でもウナギはおいしいんだけどな。
「わー、すごい!しっぽってことは、お肉なんだよね?」
 マーシャちゃんの目が輝いた。
「あー」
 ちらりとディラの顔を見る。
 海洋生物……魚介類なら肉じゃないけど、あ、魚肉っていう単語もあるから、肉は肉でいいのか?
「たーだきま」
 小さな子が待ちきれずに口に運ぼうとする。
「だめだよ、おしょなえするって」
 それを少し大きな子が止める。
「しょーだよ。精霊しゃま、お供えいたちます」
 みんなで仲良くディラの剣の前に謎尻尾肉を供えた。
「おしゃがりをいただきましゅ」
 そうして、初めてしっぽを口に入れた。
 ……子供たちの表情を見るに……。
「あれ?ディラ、まずいって言ってなかった?子供たちあんまり嫌そうな顔してないけれど?」
 どんな味なんだろう?
 私も供えてからおさがりのしっぽをかじった。
「かっ」
 硬い……。なんじゃこりゃ。鰹節か!って硬さだ。
 噛んでもまったく歯が立たない。
『だから、言ったのにぃ。まずいって。干し肉よりも硬くて10分くらいちょっとずつ噛んで柔らかくしないと食べられないんだから。なんかだんだん木の棒かじってるみたいな気持ちになるんだよ』
 ディラは文句を言いつつも、お供えされた14本の謎尻尾肉を食べようとしている。
「おいしいね」
「うん、おいしい」
 ディラが子供たちの言葉にハッとする。
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