魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 いつも食べている葉っぱや根っこにくらべれば、苦くもないし、えぐくもない。肉の生臭さもさほど感じないし、噛んでいるうちにうま味が口の中に広がっていく。
 ……これ、鰹節みたいに、薄くそいだら美味しく食べられるんじゃない?出汁にもなったりして。

 よし。謎尻尾肉改め、鰹節もどき。……うん、そう考えたらおいしそうに見えてくるから不思議だ。
「スライサーとかカンナとかなんか薄くスライスできるもの」
 と、ざっくりと収納鞄に言って手を入れる。
 ……何も、出てこない。
「えー、何、どうして……薄く切るやつ」
 と言うとナイフが出てきた。
 ナイフ……で、切れるかな、鰹節みたいに……無理そうだよ。ささがきみたいな感じにはできるかもしれないけれど……って、できるのかな。めちゃくちゃ堅そうだし……。
『そういえばそんなナイフあったね。役に立たないよ』
 ディラが私が収納鞄から取り出したナイフを見て首を横に振った。
「え?どういうこと?」
『それ、何の呪いがかかってるのか、いや、もしかしたら魔法をかけるのに失敗したのか、もしくは誤って人を傷つけないためなのか、なんなのか知らないけれど』
 呪い?
 魔法に失敗?
 でも、人を傷つけない?
『切れないんだよ。切れない上に刺さらない。なんか、薄皮1枚しか切れない。モンスターも獣も倒すことはできないし、倒した獣の皮をはぐこともできない』
「薄皮一枚だけ切れる?え?」
 なんか、よく人質の顔や首元にナイフを当てて、すっと少しだけ切れて血が出るのを想像してしまった。
 人質を殺さず、脅しをかけるためだけに開発されたナイフだったりして……。
 そんなはずないか。とりあえず、ナイフを使っていて誤って自分が傷つかないならチャレンジあるのみ。
 鰹節もどきにナイフの刃をあてて前後に動かす。
『ほら、薄皮一枚だろ?向こうが透けて見えるくらい薄くしか切れない』
「サイコーだわ!」
 鰹節ナイフと名付けよう。
「ほら、モモちゃん、これ、これ食べてごらん?」
 薄くそいだ鰹節もどきの花かつおもどきを、モモちゃんの口の中に入れる。
「おいち」
「俺も食べたい!」
 モモちゃんが一生懸命花かつおもどきを口にするのを見て、ドンタ君がうらやましそうに声を上げた。
「もちろん、待ってね、皆の分も削っちゃうから」
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