魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 変な物って眼鏡だよね。なんで眼鏡をかけてることがバカにしてるにつながるの?っていうかネウス君の顔のこととか、何?顔にコンプレックスでもあるわけ?
「すいません、馬鹿にしてるわけではなくて、それで、買ってほしいものはこれです。効果の高い魔力回復薬です」
 袋から瓶を1つ取り出して見せる。
 太ったおじさんはまっすぐと私の手の魔力回復薬に視線を向ける。
「はっ。なるほどな。分かったぞ。買い取りにいかずに、裏口で売りつければ偽物だとばれずに済むとおもったのか?」
 はい?
「残念だったなぁ、魔力回復薬がホイホイと手に入るわけがねぇと馬鹿でも知ってるよ。そんなうまい話しに騙されるわけねーだろ」
 槍の先で、瓶をガツンとはじく。
 ごろりと地面に瓶が落ちた。
 拾って、ドアに近づき、街の内側に投げ入れる。人は入れないけれど、物は行き来できるようだ。
「偽物じゃないです。試してみてください」
「毒だろう?騙されねぇよ。と、いうか、残念だが、俺は解毒魔法も使えるからな」
「……もうちょっと頭を働かせてくれません?あなたに毒を飲ませたとして、私に何の得があるんですか?売りたいものも売れずに、お金も何も手に入らない。むしろ、毒ですといって誰か飲ませたい人がいませんかと売った方がお金になりません?」
 しまった。あんまりやり取りがうっとおしくなってちょっと本音が駄々洩れになった。頭を働かせてくれませんなんて馬鹿ですかと言ってるようなものだ。さすがに失言だった。
 かっと血が上ったように顔を赤らめるおっさん。
「その通りだな。試してみるとするか。魔力回復薬だろう?ということは」
 おっさんが右手の平をこちらに向けた。

「魔力を減らす必要があるなぁ【風の針】」
 ひゅんっと風を切る音がしたと、思った時には、眼鏡が何かにはじかれて飛んで行った。
「ユキ!」
 生暖かいものが頬を伝う。
 ネウス君が心配そうな顔で私を見てる。
『ああああっ!なんてことを、あいつ許さない!ユキの、ユキのかわいい顔に傷をつけるなんて!ぜったい、ぜったい、地獄の果てまで追いかけて始末してやるっ!』
 いや、だから、地獄に行く気満々なのはなんだろうね。ディラ。できれば天国に行って頂戴。
 そうか。頬を切ったのか。
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