魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
『え?どうかな。紐はある。綿ぼこりは……』
 ここは森の入り口だ。なきゃ取ってくるだけ。
「ネウス君、剣をよろしく。ちょっと森に行ってくる」
『ユキ、置いてかないで!ユキ!』
 ディラが後ろでわめいてる。
「ユキ、駄目だ、森の中には危険な生き物がいる!俺も行くっ!ユキを守るっ」
 ネウス君がディラを抱えて慌ててついてきた。
 危険な生き物?
 ああ、だから森があるのに森の中の食べ物を取ることができないのかな?それともこの森には食べられるようなものは実ってない?
「大丈夫、奥には行かない。あった。よく乾燥した朽ちた木に棒。それから、ああちょうどいい。弓なりになった棒。うん、強度もあるね」
 それから、倒れているシュロのような木のあみあみになってる皮をはぐ。乾燥してパリパリ。細くて細かくて燃えやすそう。
 持ってすぐに村に戻り、収納鞄から紐を取り出す。
 これで材料はそろった。本当は穴の開いた木の板の方がいいんだけど仕方がない。一度炭化した部分を使った方がいいんだけど、これも仕方がない。

 収納鞄からナイフを取り出し、木の板にくぼみをつける。穴というほどきれいにはできない。それから木の棒の先を少し削る。
 弓なりの棒に紐を括り付け、紐は棒にくるっと巻く。くぼみをつけた板に、木の棒の先を当て、木の丈夫を別の木で押し付ける。
 さぁ、これで完成。弓きり式火おこし道具だ。
「何じゃね、それは?」
 おばばが首をかしげる。
「見ていてください」
 もしかすると、この世界では何らか違う法則が働いていてダメかもしれないので、期待させないように黙って作業を進める。
 まずは弓を前後にゆっくり引いてみる。うん。すべりもいいようだ。
 少し弓を前傾にすると動かしやすい。次第にスピードを上げていく。黒い粉が溜まってきた。よし。
 一気にスピードを上げる。煙が上がってくる。もう少し、もう少し。腕が疲れてきたけれど、ここでやめればやり直しだ。
「ユキ、煙が……」
 何をするのか、おばばやネウスだけでなく他の子どもたちも興味深げに私の周りに集まって見ていた。
 泣いていたドンタ君の涙も止まっている。
 頑張れ、私!よしよし。煙も増え、チロチロと赤いものが見えた気がする。火種、できたかな?
 それをシュロの皮の上にのせてふぅーふぅーと息を吹きかける。
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