魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
「えーっと、荒野に、落ちてたのを拾いました」
 嘘じゃないよ。ディラに教えてもらって掘ったら出てきたんだし。拾ったのには間違いない。
「そうじゃったか……。探せば、まだお宝が眠っておるということじゃな……。聞いたか、ネウス、ミーニャ」
 ネウス君とミーニャちゃんがおばばさんに頷いた。
 えっと、宝探しでもするつもりかな?
「よく見ておくのじゃ。一見ただの小さな入れ物じゃが。あんな大きなものが入ったり出たりするんじゃ。アーティ額との一つ……収納鞄と言うものじゃろう。それに、精霊様にお供えした小瓶、あれはポーションじゃ。見つけたら王都の連中にも高く売れるじゃろう」
 売る?
 あのベールの向こうに住む人たちにってことだよね?人は行き来できないけど、物は行き来させることはできるってことかな?
 そういえばネウス君は薬を買いに街に向かっていたし、おばばは火を買うお金がないとも言っていた。
「すごいです、収納鞄……。本当に、こんな小さなものに、あんなに大きなものが入っていたんですか……」
 ミーニャちゃんがじっと収納鞄を見た。
「もう一回出すとこ見せてくれよ!」
 ドンタ君の興味は樽から収納鞄に移ったようだ。
 出すのはいいけれど、何を出そうか。そもそも、何が入っているのかよく知らないんだよね。
 ふと、子供たちの顔を見る。……真っ黒だよね。
 樽風呂にはいったら、すぐにお湯が真っ黒だよね?洗ってから入るにしても……いったんお湯に浸かって垢を和ら無くしないと落ちなさそうなんだけれども……。そうすると、浸かる、出て体洗う、綺麗なお湯に浸かると……。
「酒樽、あと5つ出てこい……って、そんなに入ってないか……」
 と思ったら、ドスンドスンと、酒樽が次々に出てきた。

「うわーすげー!すげー!」
 ドンタ君は大はしゃぎだ。
 モモちゃんも樽を見慣れたのか、ドンタ君にくっついて樽を触り始めた。
 ……と、いうか……。
「ディラ、なんでこんな酒樽がたくさん入ってるの?」
『あー、ドワーフの村に行くときにはいつも酒の詰まった酒樽をいっぱい持って行くんだけれど、帰りには空になった酒樽を持って行くことになるからな』
 ドワーフも、いるんだ。酒好きのイメージは確かにあるけれど……。
 まぁいいや。ディラにやり方を聞きながら、6つの酒樽になみなみとお湯をためる。
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