魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 心臓がどきどき言ってる。べ、別にきれいな男の子に抱き留められたからじゃないんだからね!十も離れた少年にときめくなんてないんだからね!いくら喪女だって、こじらせたりなんてしてない……。た、ただ、転びそうになてびっくりしただけで。このどきどきは。
「よかった。ユキに何かあったら、俺……」
 ネウス君が何か言おうとして、すぐに顔を背けてそっぽを向く。
 ……奴隷になろうとしたりしたくらいだし、ネウスはまだ私をご主人様みたいに思ってたりしないよね?私にけがをさせるようなことがあれば責任を取ってみたいな変なこと考えてないよね?
「ネウス君に何かあっても、私は悲しいからね?」
 ネウス君がびっくりした顔をする。
「うれしい……」
 それから、ぼそりとつぶやいた。
 大切に思われていることは……そうね。私もうれしい。
「あら?」
 ぽつりとほほに水滴が当たり、上を見上げる。
 木々の間から見える空は青いけれど、その向こう側はずいぶん薄暗い。
「スコールが来る」
 ネウス君がハッと声を上げる。
 大雨が降るのか。んー、ぬれても問題ない気温ではあるけれど、ぬれたくはないなぁ。着替えもないし、タオルすらない……。
「どこか雨宿りできそうなところはないかしら?」
 進んできた道にはなかった。ちょこっと先に進むべきか。
 ポーションの瓶の目印は忘れずに設置。
「探してみよう?大きな木の下なら少しは……」
 きょろきょろと見回し、大きな木がないか探しながら進んでいく。
 あ、そろそろ次のポーション瓶をと、カバンから取り出して木の枝に刺そうとしたら、慌てすぎたのか、するりと瓶が手から落ちた。
 ころころと転がる瓶に手を伸ばし、届くと思うと、さらにころころ。
 何で逃げるのよっ!
 まぁ、ちょこっと傾斜になってるし、瓶は丸いし、転がるか。って、でこぼこしてるところで引っかかって止まってよ。
 と、期待してさらに遠くへ行った瓶へと手を伸ばす。
 視界に入っているのは、瓶。と伸ばした私の手だけ。
「しまった!」
 傾斜になってるその先がどうなっているかとか、まったく見えてなかった。
 瓶しか見てなくて、しかもこのあたりに至るまで雨宿りできそうな大きな木を探すため遠くに視線を向けていた。
 つ、ま、り。
「きゃぁっ!」
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