魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 足元とかすぐ先の場所とか、全然見てなくて。気が付いたら足が滑ってステーン。そのまま斜面を……。
「ユキっ」!
 私の手を取ったネウスとともに、滑り落ちてしまった。
 ……3mほどの高さだったのが幸いだったか。あくまでも斜面なので。滑り台のように滑り落ちただけで。……
「びっくりしたぁ」
 しりもちをついて呆けている私の前で、ネウス君が心配そうな顔をしている。
「大丈夫、ユキ?どこか痛くないか?」

 体の感覚を確認する。うん、ちょこっとぶつけたお尻が痛いくらいか。しりもちついて痛いとかその程度だ。
「大丈夫だよ。ごめんね驚かせて。ネウス君は大丈夫?」
 立ち上がって、おしりについたゴミや土を払いながら訪ねる。
「大丈夫。ごめん、支えきれなかった……」
 ネウス君が悔しそうな顔を見せる。
 ぐっとこぶしを握り締めた。
 ふっ。ふふっ。がりがりな年下少年が、いっちょ前なこと言うのがかわいくて、思わず笑ってしまった。いけない。ちょっとしたことで傷つけちゃうかも。ぐっと表情引き締めてネウス君から視線を外す。
「あ、見て!ネウス君!こういうの故郷じゃ怪我の功名とか棚から牡丹餅とかいうんだよ!」
「え?」
 ネウス君の後ろ、私たちがずり落ちた場所から少し右側を指さした。
 そこにはぽっかりと洞窟の入り口があった。
「雨宿りにちょうどいいね」
 にこっと笑って洞窟へと足を踏み入れた。
 ん?なんか踏んだような感触があった。一瞬ちょっと光ったような気がするけれど気のせい?
 私の後ろからネウス君も洞窟に入ってくる。そのとたんに、外ではまるでバケツをひっくり返したかのような大雨になった。
「ほら、運がよかったね。雨が止むまで少しここで待とうか」
 スコールと言っていたし、夕立みたいに短時間で止むんだよね。
 洞窟の入り口の方が地面から高くなっているから、水が流れ込んでくる心配はなさそうだけれど、斜面にあったから、山肌を流れてきた水が入り口をまるで滝のように流れ落ち、跳ね返った水が……。
「少しだけ奥に行こうか」
 プチン。
 ん?
 また何かを踏んだような気が。あれ?足元で光った?
「なんだ、これ?」
 ネウス君が何かを発見したようだ。しゃがみこんで足元を見ている。
 しゃがんでネウス君の視線の先を見る。
 ぷるんっ。
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