魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 そう、ぷるんっとしたという形容詞がぴったりとする半透明の物体があった。
「……水まんじゅう?」
 もう少しよく見ようと手を伸ばしたら、勢いよく水まんじゅうのような、いやゼリーのような、それがぷるんっと飛び上がって、私の顔にぷよんっと当たって、消えた。
「え?ええ?え?あれ?」
 ピロローン。
 へ?電子音みたいなのが聞こえた気が?いや、この世界で電子音なんてあるわけはないよね?空耳?
「あ、こっちにも」
 ネウス君が水まんじゅうもどきに手を伸ばすと、ぽよんと跳ねてネウス君の手にぶつかって水まんじゅうが消えた。
 ……。
 もしかして、これ、ディラの言っていたスライム?すごく弱いって言ってた……。
「消えちゃった。なんだろう?魔法かな?」
 ネウス君が首をかしげる。
 なんと、ネウス君はスライムを始めてみるし、スライムというもののことを聞いたこともなかったのか。

「あっちにもたくさんある」
 あるんじゃなくて、いるが正しいと思うけれど。スライムって生き物だよね?ぷるんぷるんで水まんじゅうみたいだけど……。
 たくさんいる水まんじゅう……100か、200の目がこちらに向いた。目かどうかわからないけれど、動きが「あ、発見!」みたいな感じだった。
 そして、一斉にカエルのようにピョンコピョンコと跳ねてこちらに向かってきた。
「ネウス君、あれ、モンスターだよ。弱くても……」
 いくら弱いからって100も200も一斉にとびかかられたらヤバイんじゃない?
 逃げないと。洞窟の入り口を振り返ると、外は大雨。一瞬躊躇したら、次々に私とネウス君に水まんじゅうが体当たりしてきた。
 顔にへばりつかれたら窒息して死ぬかもなんて思ってたけれど、カエルのようなジャンプ力の水まんじゅうは、私とネウス君の膝下にぽよんぽよんとぶつかり、消えて行った。時々光って消える。
「あれ、今、光って、これ」
 ネウス君が何かを拾い上げた。
「ローポーション?」
 ネウス君の手の中には、ローポーションがあった。
「そういえば……ディラが……」
 ローポーションは踏んづけただけで死ぬスライムから取れると言っていたような。それで、なんか収納鞄に自動回収機能があるからとか言ってたような。
 ってことは、私にぶつかってきたスライムが出したローポーションはそのまま鞄に収納されるわけね。
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