魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 ぜんっぜんすごくなんかないんだからね!トラックや貨物列車や船や飛行機でもっと早くたくさん魔法なんてなくたって運べるんだからっ!
「籠を作りましょう。背負い籠。そうすれば森の中も両手を開けて歩き回ることができるわ」
 遠くに運ぶなら馬車。そういえば王都には馬車を見なかったのは魔法で運搬できるからだろうか。荷車さえなかった気もする。
 だったら、作ればいい。トラックとかはむつかしいけれど、荷車や馬車は……頑張れば作れるかもしれない。問題は車輪だよね。そこをクリアすれば
 最悪、丸太を切っただけのタイヤ。それでも小さな荷車……一輪車くらいなら作れるかもしれない。重たくなるとダメだよね。竹かごみたなのと組み合わせる?
「籠?」
 布は貴重そうだから鞄を作るのはむつかしい。動物の皮で鞄を作ることはできるか。森で蔦や木の皮なんかがあるから、籠が一番材料に困らない気がする。
「ユキはいろいろなことを知っていてすごい」
 ネウス君が尊敬のまなざしを私に向ける。違う、私はすごくないよ。運よく日本で暮らしていただけ。それを自分の能力だなんて勘違いなんてしないよ。
「ネウス君もすごいよ。ミーニャちゃんを助けるために一人で荒野を歩いていくの。自分を犠牲にしても薬を手に入れようとするの。こんな状況なのに、ちゃんと人のことを思いやれるの。本当にすごいことだからね」
 ネウス君がびっくりした顔をして私を見る。
 それから、恥ずかしそうに下を向いて、小さな声でつぶやいた。
「あ……りがと……」
 ふふ。
「さぁ、ついた!」
 目印の空瓶をたどって無事に戻ってこられた。

『ああー、ユキ、ユキ、ユキ!よかった!無事に戻ってきた!」
 ディラが森の入り口でくるくると回っている。
 そしてねじれた体が逆向きに高速に回ってもとに戻った。……うん、剣とつながってるから、面白い動きができるね。
 ああ、目がまたったみたいだ。幽霊でも目が回るんだ。ふらふらとなりながらディラが私を見て笑った。
『よかった。心配で、心配で、生きた心地がしなかったよ』
 それで、正解ですよ。
 生きた心地がする方がおかしい。死んでるからね。
 とはいえ。
「心配してくれてありがとう。ディラにいくつか教えてほしいことがあるんだけれど」
 と、収穫した実を収納袋から取り出した。
「これ、知ってる?」
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