魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 せっかく300年も断酒してたんなら、このままお酒を断った方がいいに決まっている。
 親切心だよ。だというのに、ディラは泣きそうな顔を私に向けた。
『ユキ……笑わない?』
 は?
『僕……』
 もじもじとし始めるディラ。なんだ?
『男のくせに酒も飲めないのか、とか、酒が飲めてこそ一人前の男だぞとか、ミルクが恋しいガキかとか……言われて……ううう、うう、頑張ってみたけど、お酒飲めかったんだ……』
 両手で顔を覆ってしまったディラ。
 あー。そう、なんだ。
 異世界でも酒ハラとかあったんですねぇ。そうか。
「お供えします。どうぞ」
 苦労したんだね。大変だよね。酒ハラ。思わずもらい泣きしそうになったよ。
 私もお酒は飲めなくはないけれど、飲みたいと思う方じゃなかったから。付き合いの席ってめんどくさいよねぇ。特に、ある年齢のおじさんたちが酔ってからが、とりわけめんどくさい……。
『わーい!やった!魔力回復薬おいしいんだよね。甘いし、それになんか飲むと体がほわわと温かくなって気持ちよくなるんだ』
 いや、軽く酔ってるがな!
 やっぱりアルコール度数低いけれど入ってるのか……。
 うん、でも、ちょうどいいのかな。アルコールであることが大事。
 水でなく、アルコールならば腐らない……。だから水より安全だとワインが水代わりに子供も飲まれていた国があるとか。
 水がないなら、ワインを飲めばいいんじゃない?ってことよね。
 果実そのものから水分を取ることもいいけれど、収穫時期は限られているんだからワインっぽい飲み物にして保存しておいた方がいいかも。
 ちょうど、あの洞窟が気温も一定で日光も遮っていい感じで置いておけるんじゃない?
 ……あ、でも酒樽……。は、まだ収納鞄にいっぱいありそうか。最悪風呂用に使ったものを浄化魔法……。いいの、1回きりは魔法に頼ってもいいんだ。というマイルール。
 あれ、でも駄目かな。
 アルコール度数は発酵が進むと強くなっていくんだよね。発酵を途中でとめるのは火にかければいいらしいけれど、今度はアルコール度数が低すぎると腐りやすくなるとか……。10%を超えると腐らないと聞いたことがあるけれど……今度は子供たちが飲むことができなくなってしまう。……火にかけてアルコールを飛ばしてから飲むことはできる?
 んー?
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