魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
「ディラ、魔力回復薬って、腐ったり、お酒っぽかったり……酔っ払ったりしないの?」
 ディラが満足げな顔で私を見た。
『お酒っぽい?あの苦い味の魔力回復薬なんて効果がない偽物だよ。偽物なんて誰も持ち歩かないよ。戦闘中に魔力回復するつもりで酔っ払ったら困るでしょ?薬師が間違えてお酒を混ぜることもないよ。貴重なローポーションの入っていた空き瓶にわざわざ酒を入れるなんて無駄もいいところだし。まぁ、貴重というほどではないけれど、モンスターのドロップ品に入れておけば品質が変わらないから、腐らない。だから空瓶は需要があるんだ』
 え、そうなんだ。
 中身が劣化しない便利な瓶なんだ。中身だけに価値があるんじゃなくて、瓶にも価値が……。そりゃ売れるわ。捨てなくてよかった。

 ディラの話だと、発酵が進みすぎると”酒”になって魔力回復薬としての効果がなくなるのね。で、高価だって言ってたから、お酒にして売るよりも魔力回復薬として売る方がずっとお金になるから、お酒にする人もいなかった?発酵を止めるには、瓶に入れちゃえばいいってことね。
「誰にでもできそうね……」
 マナナの木を庭にでも植えておけば誰でも作れそうなのに。ワインも、実は簡単に家で作れるんだよね。酒税法の関係で1%より強くすると違法だけれど。ブドウの皮に酵母がくっついてるから味噌とか醤油とかより簡単に誰にでも作れる。
『作るのは難しいんだよ!なんせ、少しでも制作者の魔力が流れ込むと失敗するんだから。無意識に体から放出されている魔力を抑え込みながらの作業は……マナナの実を1つつぶすのがやっと、とても、とても……』
 泣きそうな顔のディラ。
「そう、ディラは自分で作ろうとしたことがあるのね」
『うっ……』
 なんと、分かりやすい幽霊だろうね。おいしかったからいっぱい飲みたいみたいな?
「ああ、でも、全然簡単よね。3歳の子供にだってできるわね」
 抑え込む魔力なんてない、魔力ゼロだから。
 ……あれ?魔力ゼロならば簡単に作れる、高価な薬がある?
「ねぇ、ディラ、魔力ゼロってなんで差別されちゃってるんだろう?」
 おかしいよね?むしろ役に立つ存在で、重宝がられても役立たずだと追い出すような存在じゃないと思うんだけれど。だって、ワインづくりって結構人手を要するんじゃなかった?収穫シーズンに一気につぶして樽に入れるわけだから。
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