魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
「うん、じゃぁ、こっちの空の樽に入れてくれる?汁だけじゃなくて、実や皮全部ね。ワインと同じならば、皮に酵母が付いていて、それで発酵するから。液体部分だけだとダメなんだよね。で、樽がいっぱいになるまで繰り返すの。いっぱいになったら、蓋をして放置。1日2~3回かき混ぜて2週間くらいかな?様子を見ながら完成を待つだけよ」
 ……たしか白ワインは15度を超えないように、赤ワインは30度近くでもオッケーだったはず。どっちかな、これ……。色から判断すると、赤ワイン系。……っていうか、よく考えたら15度を超えないようにしようと思うと、この場所じゃ難しいよね。日陰においても20度は超えそう。あの洞窟の中の、ちょっと奥に持って行けば大丈夫かな?
「分かった!」
 子供たちが元気に返事をして、作業を続けていく。
 ただ踏みつぶすだけとはいっても、細くて軽い体の子供たちじゃぁかなりの重労働だろう。
 それに、あれ?この作業を全員でしてたら、ご飯の準備ができないんじゃ……?
 食べられる木の実を取ってきたから、それを食べれば水分も補給できるとして。
 それだけじゃさすがに……。
 子供たちと一緒にマナナの実を踏みつぶしながら小さくため息をつく。

 ああ、もう。嫌になる。計画性がないよね。私。
 なるべく魔法には頼りたくないとか、えらそうなこと言っておきながら……。ここで何か新しいことを始めようとすれば、今まで生きてくためにこの子たちがしていた何かができなくなる。
 ネウス君だって、私について森の中に入って道を作ったりいろいろ手伝ってくれたけれど……。もしかしたらいつもは砂ネズミやサボテンなんかを探しに行っていたのかもしれない。
 食べることを犠牲にしてまですることなのか……。
 いや、違う。この先の投資だと思わないと。魔法に頼りたくないという私のこだわりはちょっと横に置いておこう。
 この子たちがこの先、生活を改善するためにちょっとだけ助けてもらおう。
 贅沢に慣れない程度に。楽なことに流されない程度に。
 ……収納鞄の中の食べ物を使わせてもらおう。
 何が入ってるのかな?
「じゃぁ、あと頼んだね」
 ざっくりと食べ物と取り出すことはできると思うけれど、何が出てくるのか分からなすぎるのも困るので、ディラに確認してみよう。
「ディラ~」
 ディラはどこへ行ったのかしら?
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