魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 いや、剣をどこに置いたのかな?
「森の中に入ろうとして、えーっと、ネウス君が剣を抜けなくて、ああ、そうだ。古くなって抜けないだけだろうに、ネウス君に力がないだのダメ出ししたから頭に来て……」
 森の入り口の木に立てかけたんだ。
 剣が見えた。
「ディラっ!」
 え?
 うそ……。
 剣は見えてるのに、ディラの姿が見えない。
 じょ……成仏した?
「なんで?冷たくされて、成仏なんて……」
 え、え……む?
「こんなことなら、もっと優しくしてあげれば……よかった……」
 ん?
 優しくする?なんで?
 優しくしたら成仏できなかったから、えーっと……あれ?
 とりあえずディラの形見の剣を皆の元へ持って行こうと近づく。
『うわぁっ!踏まれるかと思ったぁ!』
 急にディラが姿を現した。
「失礼ね、立てかけてあったんだから、剣を踏んだりしないわよ、って、ディラ?あれ?なんで?」
『ああ、ユキだぁ、ユキぃー!よかった。いつ帰ってきたの?全然戻ってこないから、心配で、何とか移動しようとしたんだけれど、このあたりにいるの小さな生き物ばかりで剣を運べなかった』
 は?
 まさか、子供たちになんとか剣を運ばせようとしたってこと?
 それとも……。
 足元を見ると、蟻がいる。
 うっ、食卓に上るやつかな……あはは……。蟻に運ばせようとした?
『蟻じゃ無理だった。っていうか、よかったユキ……って、あれ?それ、精霊の指輪?』
 ディラが私の左手の薬指にはまっている指輪を指さした。
「ああ、これ……。見ただけで精霊の指輪ってわかるの?有名なの?」
『精霊の指輪は有名だけれど、見ただけでわかる人はそんなにいないと思うよ。僕は実物を見たことがあるから。一緒に行動してたシーマが火の精霊と契約していたからね』
 なんだ。ノームさん大げさに言ってたけれど、実は精霊と契約してる人ってそれなりにいるんじゃない?だって、知り合いにあの人も持ってたって話が出るくらいだもん。……いや、でも、300年前と今じゃちょっと違うのかな?

『っていうか、ユキ、精霊と契約したの?ねぇ、その色は土の精霊?ノーム?いいなぁ。僕、一度も精霊見たことないんだよね。シーマの精霊も見ることができなかった。死ぬまでに一度でいいから精霊を見たいなぁ』
 ああ、その願いはもうかなわないですけどね。すでに死んでるし。
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