魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 しかし、ディラの本気でうらやましがっている様子を見ると、精霊と契約したがっている人は大勢いたというのは本当のことのようだ。
「こんな、見た目も茶色い石で薄汚れた銀色の指輪……おしゃれのかけらもない、しかも盗聴機能付きの指輪、ほしいかな?」
 しかも、何の断りもなく左手の薬指だよっ!ああ、一生、他の人に左手の薬指に指輪をはめてもらえないってことじゃない?いくら喪女でも、結婚をあきらめたわけじゃないんだから……。
 はぁー。
 小さくため息が漏れる。日本に帰ることができたら、結婚相談所に登録して、おしゃれを勉強して、それから……。
 この、指輪、まさか日本に戻ってもこのままってことないよね?
『ユキ、森の中はどうだった?危なくなかった?モンスターとか出たりしなかった?』
 モンスター?
「ああそうだ、ディラ、ディラの言ってたスライムみたいなの、洞窟で出たよ。ほら、ローポーション」
 洞窟で取ったローポーションを収納鞄から取り出す。
「なんかポンポン体当たりしてきて、勝手に消滅して、時々これ出してた。水まんじゅうみたいな……えーっと、これくらいの大きさの透き通ったやつ、あれがスライムだよね?」
 ディラの目が大きく開かれた。
『もとに、戻ったんだ……』
「もとに?」
 ディラが小さく頷いた。
『僕が生まれる前は、ダンジョンにはモンスターがいて、冒険者と呼ばれる者たちがダンジョンに入ってモンスターを倒してはポーションや収納鞄などのお宝をダンジョンから持ち帰っていた』
 ゲームみたいな話だね。
 いや、魔法がある世界だし、そういうのが普通なのかな?
『僕が生まれる少し前にころに魔王が現れ、ダンジョンからモンスターが消えた』
「モンスターがいなくなると、何か困るの?」
 人が襲われなくなっていいような気もするけれど。
『ダンジョンからモンスターが消え、ダンジョンの外にモンスターが現れるようになったんだ』
「え?」
『それまでは、ダンジョンに入らなければモンスターに襲われる危険はなかった。ダンジョンに入る者はそれなりに腕の立つ者、覚悟のある者だったのに……人々が無差別に襲われるようになった』
 モンスターがダンジョンから出て……?あれ、でもゲームとかだと、そういう世界もあるよね。
 この世界の人たちはほぼ魔法が使えるんだから何とかなりそうなものだけれど……?

< 96 / 132 >

この作品をシェア

pagetop