契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 ◇◇◇

 レセプションパーティでは槙野と綾奈のちょっとした騒ぎがあったけれど、ミルヴェイユとケイエムのコラボ企画については、順調に話が進んでいた。

 ミルヴェイユではデザインを扱ってもらうことやデザインを卸すことで、収益を確保し、ケイエムはミルヴェイユの名前を使用することで、ブランドの底上げをはかる。

 お互いの収益についても話し合いがあり、企画がスタートし、この日は打ち合わせのために先方のデザイナー室の室長が来る、ということだった。

「椿さんっ! あ、今は槙野さんだったかしら?」
 そんな風に言って笑顔で会議室の入口で手を振っていたのは木崎綾奈だった。

「綾奈さん? ご無沙汰しています。いえ、業務中は椿で大丈夫です」

 ──綾奈さん、デザイナーさんだったんだぁ!

 あの時もセンスのいい人だとは思ったけれど、こうして見てもやはりそのスタイルは際立っている。

 体型的には少しふくよかな方なのだが、自社のブランドの服をとても粋に着こなしていた。
 高級ブランドに身を包む母親とはまた考え方も違うようだ。
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