契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
『仕事が好きなの!』とアッサリ言われたものだが。

 付き合いは長いけれど、どんなパートナーが好みなのかプライベートに関してはあまり知らないことに美冬は驚いた。
 それでも美冬が社長になった時からずっと見守ってくれている人だ。彼にも幸せになってほしいという気持ちはもちろんある。

 そうかぁ……諒ね。

「そうだわ、あとで社長室にお邪魔しようと思っていたんですけど、ここでお会いできて良かった。プレゼントがありますの」

 両手を胸の前できゅっと合わせて綾奈は笑顔になっている。

「ご結婚のお祝いがまだでしたもの」
「気にしなくていいんですよ、そんなの」

 ちょっと待ってらして?と言った綾奈は自分の荷物から紙袋を取り出して、美冬に渡した。
「美冬さんへのプレゼントなんですけど、きっと槙野さんもお喜びになると思いますわ」

 ──祐輔も喜ぶもの?
 美冬はちらっと袋の隙間から中身を覗き込んでみたけれど、どうやら洋服のようだ。

 きっとケイエムで発売される新商品の服なんだろう。
 そんな風に美冬は思っていた。
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