契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 それは美冬が知っている今までのどんなキスとも違って、肉食獣のような彼にふさわしい食べられてしまうかと思うようなものだったのだ。

 唇を重ねるだけなんてことは許さないと言わんばかりに遠慮なく、美冬の口の中に舌が侵入してきて、逃げてももう逃さないと絡ませられる。

 口の中で擦れる舌の感触が妙に官能的で、腰がぞくんとするのを止めることはできなかった。
 無理に奪うようにされているはずなのに、求めているかのように彼に身体を預けてしまう。

「だったら、お前が持っているその重荷は……俺にも渡してもらうからな!」

 息を継ぐ合間に囁くように、けれど強く言われたその言葉は、キスで頭がぼうっとしてしまっている美冬には聞こえていなかった。

 ──な、なに……? 今、なんて言ったの?

「だいたい、契約結婚というものが何なのか、お前に分かっているのか? おい、腰を抜かしている場合か?」

 舌打ちして抱き上げられて先程のソファに運ばれて、膝の上に乗せられて、真顔で説明される。

 だって……キス上手くない?
 チカラ、抜けてしまった……。
 あとこの状況、なに?
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