契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 だって……私ばっかり余裕がないなんて、イヤだもの!

 ◇ ◇ ◇

「おい、起きろ」
「眠いー……」
「今日も会社だろうが、ほら、送ってやるから」

 今日も今日とて腰タオルの槙野が美冬の頬をつつきながら、甘い声で起こす。

 美冬は目を擦りながら身体を起こした。
「もー、眠いの祐輔のせいだからぁ」

 一方の槙野は昨日夜、散々美冬と心ゆくまでいたしたこともあり、ツヤッツヤである。
「舌っ足らず可愛いなー。このままベッドに引きずり込みたくなる」

「無理っ!」
 それを聞いて布団で身体を隠す美冬だ。

「朝メシ作ってやるから、シャワー浴びてこいよ」
 美冬の抵抗など気にしないで、槙野はベッドの横に軽く座って、美冬の額にキスをする。

「パンがいいよー」
「そう言うかと思って、朝の焼き立て買ってきたぞ」
「ホントにっ!?」

 マンションの近くの朝イチの焼き立てを出してくれるパン屋のパンだ。
 当然朝イチに行かないとパンはなくなってしまう。
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