契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「美冬? どうした?」
「な、なんでもないっ!」

 祖父はそんな槙野と美冬の様子をじっと見ていた。

「私も実のところは今回は祐輔に助けられたって思ってるわ」
「なんにもしてない。するべきことをしただけだ」

「そういうの自然に言えちゃうところが祐輔のすごいところだと思ってるんだけど」
「それは褒めてる? だとしたら、普通に嬉しいな」

「褒めてます。いいところはいいところだもん」
「結婚については……」

 祖父が口を開いたので、美冬と槙野は黙る。

「何か取引でもしているのかと思ったが、そうでもなかったらしいな?」

 美冬はぎくん、とする。
 確かに最初はそんなこともあった。けれど今は違う。
 すると、槙野が机の下で美冬の手をぎゅっと握ったのだ。
(な……なにしてるのよ!?)

「甘やかされたお嬢様かと想えば、頑張り屋で、会社の皆にも好かれていて、尊敬されていて、俺にはもったいないくらいの人だと思います」
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