契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 美冬のそんな言葉を聞いて、槙野はふ……っと笑った。

「ふうん? じゃあ、お互いに利害は一致しているんだな。では今度詳細なお互いの条件について詰めよう」
「分かりました」

「おい、結婚するならミルヴェイユの社長は降りなくていいわけだが、この案件については俺の預かりで構わないか? 悪いことはしない」

 そう言って槙野は美冬と一緒に手にしていた書類を振って見せた。

 確かに、結婚するのなら美冬の社長問題は回避される。
 でも経営状態はせっかくなので改善はしていきたいし、その件について槙野が案件にしてくれるのなら言うことはなかった。

「お願いします」
 美冬は槙野の膝の上で頭を下げたのだった。

◇◇◇

 その週の金曜日だ。美冬の会社のメールボックスに槙野からのメールが入った。

 題名は【契約の件について】
 契約について詳細な内容を詰めたいので、今日の夜に時間を作って欲しいということだった。
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