契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「緊張、ほぐれたか?」
「バカ! もっと緊張したわよ!」

 髪をくしゃっと解いた槙野はタキシードのボタンを開ける。一気にラフな雰囲気になった。
 それを見た美冬はもう!この人は!とヒールを脱いで裸足になった。そして、ドレスの裾を抱える。

 そうして槙野に思い切りの笑顔を見せたのだ。
「解けたわ! もう楽しむ!」

 そんな二人が手を繋いで元気にランウェイを歩くのに、会場が一気に盛り上がりを見せた。

 演出だと思われている。

 そうして最後に石丸が他のモデルを引き連れて登場したのだ。わああっとさらに会場中から声が上がる。

 美冬と槙野もその場に残らされた。

「もう! 覚えてなさいよ! 二人とも!」

 槙野と石丸は笑ってハイタッチしている。
 信じられない、夢のような時間だった。



 夢のような大騒ぎが終わって、打ち上げも終え、美冬と槙野はホテルの部屋の中にいた。
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