契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 ずるくはないだろうか。
 あんなキスをしておいて、こんな風に強引に手を握っておいて、それでいて美冬にこんなことを聞くのは。

「私も好みじゃない」
「は……?」
 突然美冬が発した言葉に槙野は目を見開いている。

「方法論を聞かせろとか、最初すっごく怖かったわ。今も時々怖い」
 美冬がそう言うと槙野は心当たりでもあるのか目を伏せた。

「悪かったな」
「でも槙野さんは裏表がないし、フェアだわ。それに不思議なんだけど、槙野さんには思ってることを言えるの」

「おお、ちょっと言いたい放題の時もあるがな」
「自分だって言いたい放題のくせに」
「ああ!?」

 だから怖いってば!
 それに手!いつまで握っているのよ。

「私の方は業績が改善したら問題が解決するとしても槙野さんの方の事情はどうなんです?」

「俺は……まあ、何とかする」
 やっぱりこんな時の槙野は耳を垂れた大型犬のように見える。
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