契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「シャワー浴びてきたら? 着替えは……俺のしかなくて悪いけど準備しておく。下着も洗濯機に放り込んでおいたら全自動だから、明日までには乾くぞ。キッチンの隣のドアがバスルームだから」

 友達が遊びにきた時のように、ひょいひょい言われて、本当に意識されてないと美冬は一瞬落ち込みそうになるが、それでいいのか……と思い直す。

「ありがとう」
 ふ……と笑った槙野は美冬の頭を撫でる。

「美冬はいっぱい、ありがとうって言ってくれるんだな。そういうの、いいな」

 ドキッとした。
 すっごくドキッとした。

 そんなことに気づいてくれる人だということにも驚いたし、その笑顔は普段が怖いだけに笑った時の顔が割と良くてドキドキするのだ。

(ギャップ萌えってやつかしら)
 ずるいなあ……と思う。
 仕事もできて人情があって、優しくてよく気がつく。

 美冬はバスルームに向かった。
 服を脱いで、槙野に言われた通り洗濯機の中に下着を入れてボタンを押す。

 シャンプーやコンディショナーもドラッグストアのものではなくて、美冬がよく知っている海外ブランドのものがラインで置いてあった。
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