極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 将生さんのさらにうしろ、ドアの向こうにはセキュリティガードの制服を着た人たちの姿が見える。狭いリネン室はわたしたちでいっぱいで、室内に入ってこられないのだ。

 そんなカオスな状況の中、将生さんが照れくさそうにつぶやいた。

「懐かしい呼び名だね。でも、この年でちゃん付けはちょっと恥ずかしいよね」
「鞠香、将生なんか見るな。俺だけ見てろ」

 翔一郎さんが場違いな口説き文句を真剣に言うから、わたしと将生さんは思わず笑ってしまった。
 そして、ようやく緊張の糸が途切れた。わたしは脱力して、かつてのショウおにいちゃま――今の翔一郎さんの胸に顔をうずめたのだった。
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