天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「そんなに警戒しなくてもいいだろ」

 動揺する私を見て、翔さんが小さく笑う。
 微かに首をかしげこちらを見下ろす表情が色っぽくて、鼓動が速くなった。

「け、警戒するに決まってるじゃないですか」

 私はすぐさま言い返し、翔さんを睨む。

「翔さん。どうして自分が普通の会社員だなんて嘘をついたんですか?」
「パイロットも会社員だろ。航空会社に雇われてる」

 翔さんは私の視線を受け止めくすりと笑った。

 たしかにそうだけど、パイロットを普通の会社員とは言わないと思う。

「私は管制官をしてるって話したのに、自分はパイロットだってことを隠していたなんて、卑怯です」

 しかも、元カレの尚久と同じ航空会社だなんて……。

 そう思ってからはっとした。

 同じ会社のパイロットなんだから、翔さんと尚久は面識があったんじゃ。
 だからパイロットだということを隠したのかもしれない。

 優しくなぐさめてくれたのも、あちこち案内して楽しませてくれたのも、何度も私を抱いたのも。
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