天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 頬を膨らませて睨む彼女の隣に腰を下ろす。

「いや、俺は完璧なんかじゃないよ」

 そう言うと、里帆は不思議そうに首をかしげた。

 その表情を見て愛おしさが込み上げてくる。

 真面目で優しくてお人好しで、でも不器用で臆病で。
 そんな彼女を守りたいと思った。
 とことん甘やかして愛して、つらい失恋の記憶なんて忘れさせてやりたい。

「なぁ、里帆」

 俺が名前を呼ぶと、里帆は「はい」と返事をしてこちらを見た。

「里帆はまだ、志田尚久のことが好きなのか?」

 俺の言葉を聞いて、里帆は目を見張った。

 みるみる強張っていく表情を見て確信する。

「やっぱり、里帆の元恋人は志田だったんだな」

 そうだろうと予想はしていたけれど、事実だと知ると嫉妬が込み上げてくる。

 里帆は「どうして……」と弱々しい声でつぶやいた。

「そのうち耳に入るかもしれないから話すが、志田は安本というCAと結婚するそうだ」
「結婚ですか……。私と別れて二か月しかたっていないのに」

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