天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 驚いたようにそう言う。

 彼女はまだ志田のことを愛しているんだろうか。
 結婚すると知って傷ついているだろうか。
 
 不安になりながら、今日のやりとりをかいつまんで里帆に話す。

「たぶん志田が浮気をしたのは、安本が強引に誘ったからだ。彼女が誘わなければ、真面目な志田は浮気なんてしなかったんだろう。そして、里帆がこんなに傷つくことはなかった」
「過程がどうであれ、彼が浮気をしたことは事実ですから」

 里帆はぽつりと言って視線を落とした。悲しみや怒りというより、すべてを諦めたような表情だった。

 そんな里帆を見て、俺は葛藤しながら口を開く。

「結婚前にもう一度、彼と話をしたほうがいいんじゃないか?」

 そんなことを勧めて、里帆がやはり志田が好きだとよりを戻してしまったら……。

 そう想像するだけで、嫉妬で気が狂いそうになるけれど、元カレとの別れを引きずったままの里帆を見ているのもつらかった。

「いいです。話すこともないので」
「しかし」
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