天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「浮気がバレて、彼はなんて?」
「彼は気の迷いだったって必死に謝罪してくれましたが、私はどうしても許せませんでした」
ぎゅっと手を握りしめると、彼がわずかに首をかしげた。
「そもそも、どうして彼が浮気をしたとわかったんだ?」
「それは……」
言いかけて、言葉にするのをためらう。
浮気を知ってしまったときのことを思い出すだけで、気分が悪くなり手足が冷たくなる。
彼と付き合ってから六年間。
幸せだと思っていた時間が一瞬で崩れるような絶望感がよみがえる。
「……言いたくありません」
きつく唇を引き結ぶと、ぽんと頭をなでられた。
長い指の感触に驚いて、おずおずと視線を上げる。
「つらいことを思い出させて、悪かった」
ぶっきらぼうだけど優しさが伝わってくる声だった。
私と目が合うと、彼は涼し気な黒い瞳を微かに緩ませる。
その視線がやわらかくて、自然と強張っていた体から力が抜けた。