天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「矢崎機長は今イギリスに行っていて、明日帰ってくる予定だぞ。国際線乗務のあとは三日間オフだったと思う」
「そんな予定を聞かされても……」
「じゃあ、矢崎機長の今月のスケジュールを送ってやろうか」

 スマホを出そうとする彼に、「いいよ」と苦笑いで首を横に振る。

 わざわざ私に教えるために調べてきたんだろう。

「本当に、お節介だなぁ」
「俺が言えた義理じゃないけど、里帆には幸せになってほしいんだ」

 真剣な表情でそう言う彼に、小さく笑う。

 彼のこういう真面目なところが好きだったなと、懐かしい気持ちになった。

「うん。ありがとう」
「さっさと素直になれよ」

 そう言って歩いて行く尚久の背中を見て、心の中のわだかまりが少しだけ溶けたような気がした。





 


 翌日。
 午前中は晴れていたのに、午後から上空を黒く重い雲が覆いはじめた。
 海上を低く飛ぶ鳥の群れを見て、少し胸が騒ぐ。


「蒼井、どうした?」

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