天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 同僚の北原くんに声をかけられ、管制塔の上から窓の外を見ながら答えた。

「天気が荒れそうだなと思って」
「あぁ、たしかに。風も強くなりはじめたな」
「滑走路が閉鎖にならなきゃいいんだけど」

 そんな予感は的中し、一時間後には大粒の雨が窓に打ち付けるようになった。
 時折突風が吹き荒れる。

 激しい雨のせいで視界はかなり悪く、アプローチに入った機体が地面付近で風にあおられている様子もあった。

「コンディションがどんどん悪くなっていますね」
「離着陸するパイロットにできるだけ風の情報を細かく伝えてフォローしてやってくれ」
「わかりました」

 そんなやりとりをしていると、東北から中国地方までの航空管制を管轄する東京管制部からタワーの管制室に電話が入った。

「成田が一時滑走路閉鎖らしいです!」

 報告を受けた富永さんの言葉を聞いて緊張が走る。

 成田が使えないとなれば、着陸予定の旅客機がこちらに回ってくることになる。

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