天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「この天候じゃ、うちもいつ閉鎖になってもおかしくない。可能な便は中部や仙台に回すよう手配してくれ」

 武地主幹が管制部にそう伝え、最小限の便だけ受け入れる体制を整える。

 刻々と変わる天候に注意を払いながら、やってくる航空機を滑走路に降ろしていく。

 管制塔は三百六十度ガラス張りで普段なら滑走路に降り立つ機体をしっかりと目視できるのに、今は打ち付ける雨のせいで非常に視界が悪い状態だった。

 どうしよう。
 なんだか胸騒ぎがする。さっきから不安で仕方ない。

 無意識にストラップについた鐘のチャームに触れたとき、再び電話が鳴った。
 東京管制部から、エマージェンシーの報告だった。

『イギリス発のOJA212便の左エンジンがトラブルを起こし、緊急事態宣言です』

 その言葉を聞いて、血の気が引いた。

 昨日尚久と交わした会話を思い出す。
 たしか、翔さんは今日イギリスから日本に帰ってくる予定だったはずだ。

 そんな、まさか……と心の中でつぶやく。

「詳しい状況は?」
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