天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「OJA212便。高度四千フィートを保って旋回してください」

 モニターに映し出されるあらゆる情報を確認しながら、頭の中で整理し指示を出す。

 なんとしても212便を、そして翔さんを無事に降ろすんだ。

「ダウンバーストが現れるのは数分から十分程度。長くても、あと五分程度で収まるはずです」

 どうか収まって欲しい。
 心の中で祈りながらそう言う。
 無線のスイッチを握る手が震えていた。

 塔の上から指示を出す私でさえこんなに怖いんだ。
 上空で操縦桿を握る翔さんは、想像もできないほどの恐怖と重圧を感じているだろう。

「風が収まる前に燃料が尽きれば墜落するぞ」

 主幹の言葉にうなずき、風力計の数値を見る。
 風はまだ強いままだ。

 残りの燃料を考えると、次のアプローチが最後のチャンスだ。
 そこでまた強い風が吹いたら……。

 そう考えて、背筋がぞくっと冷たくなった。

 もしかしたら、さっきのゴーアラウンドは判断ミスだったかもしれない。
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