天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 私は涙をこらえながら「当たり前です!」と叫ぶように言う。

「どんなことがあっても、絶対に無事に降ろします……!」

 すると、無線の向こうの翔さんが『ははっ』と声を上げて笑った。

『まいったな。何年でも待つなんて言ったけど、やっぱり君が好きで仕方ない。愛してるよ里帆』

 その言葉に、思わず「バカ!」と怒鳴ってしまった。

「こんなときになにを言ってるんですか! そういうのは、無線越しじゃなく直接言ってくださいっ!」

 そう言って、涙を拭い前を向いた。

『わかった。じゃあ、無事に着陸したら里帆を抱きしめに行くから待っててくれ』

 どうしよう。
 愛おしさが込み上げてきて胸が震える。

 翔さんが抱きしめに来てくれるのをずっと待っているから。
 だから、無事に帰ってきて。

 心の中でそう祈る。

 無意識に胸の前で手を握ると、身分証のストラップに付けた小さなチャームが揺れた。

 雑貨屋さんで老婦人から言われた言葉を思い出す。

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