天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「はい。翔さんは疲れているから、早く帰って休んだ方がいいと思って……」
「前も言っただろ。俺は里帆の顔を見ているだけで癒されるって」

 たしかに、以前ニューヨークから帰ってきたときもそう言っていた。

「でも……」
「それに、ようやく里帆が俺のものになったのに、大人しく帰すはずがないだろ」

 まっすぐに見つめられ心臓が跳ねた。

「俺は里帆と離れたくない。……里帆は違うのか?」

 試すような視線を向けられ、その男の色気に背筋が震えた。

「……私も、翔さんと一緒にいたいです」

 ためらいながらそうつぶやく。
 すると、翔さんがふっと息を吐いて笑った。

 少しクセのある黒髪に、整った男らしい顔。
 片方だけ口端が上がるちょっと意地悪で余裕を湛えた笑み。

 もうどうしようもないくらい、この人が好きだと思い知る。

「じゃあ、俺の部屋に連れて帰ってもいいか?」

 耳元でささやかれ、うなずくことしかできなかった。






 翔さんの部屋は高級そうな低層マンションだった。

< 199 / 238 >

この作品をシェア

pagetop