天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「ひとりぶんを作るのは面倒だし、家を空けることが多くて食材やごみの処理が面倒だから、料理はまったくしない。ぬくもりのある手料理が恋しくなることもあるけどな」

 前に翔さんが『家に帰ってひとりでさみしく寝るより、里帆の顔を見ている方が癒される』と言っていた気持ちがなんとなくわかった。

 責任ある仕事を終えて、誰もいないこの部屋に帰ってひとりで寝るのはたしかに気が休まらないしさみしいかもしれない。

「翔さんなら、手料理を作ってくれる女性はいくらでもいそうなのに」

 ひとり言のようにつぶやくと、不機嫌な顔で睨まれた。

「だから、里帆は俺のことをどれだけ遊んでると思ってるんだ」
「そ、そういうわけじゃないですけど」
「パリでも言っただろ。好きでもない女を抱く趣味はないって」

 あのときは、ベッドの中だけでのリップサービスかと思っていた。
 でも翔さんの部屋を見ると女性の影は一切なくて、あの言葉は嘘じゃなかったんだと実感できた。

 どうしよう。すごく嬉しい。胸の辺りがそわそわする。
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