天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
それなのに、翔さんに手を引かれて歩くと、ただの街路樹と素朴な石畳がこんなに美しく思える。
まるで魔法にかけられたみたいだ。
「こっちだ」
彼が足を向けたのは、ビルの間にひっそりとある細い路地だった。
入り口は狭く薄暗い。
どこかへ向かう近道なんだろうか。
不思議に思いながら彼についていく。
「わぁ……!」
その路地に一歩足を踏み入れた私は、思わず声をもらした。
細い抜け道の両側に、レトロなカフェやブティックが並んでいて、ガラス張りの天井から自然光が差し込んでいた。
屋根を支えるアーチ形の装飾や、足もとに施された鮮やかな色のモザイクタイル。
ひとつひとつが美しくて、目を奪われる。
「すごい、映画の中に入ったみたい」
まるで時空を飛び越えてタイムスリップしてしまったような風景がそこに広がっていた。