天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~


 茶目っ気たっぷりに笑う老婦人がかわいくて頬が緩む。
 そのおおらかさがいいなと思った。

 アンティークということは、一点ものだろう。
 もしかしたら値が張るものかもしれないけど、思い切って買っちゃおうかな。

 フランス旅行のいい思い出になりそうだから。

 私の背中を押すように、老婦人は『鐘は悪いものを追い払い、幸せを呼び込む平和の象徴よ』と微笑む。

 老婦人の言葉に、「今の里帆にぴったりだな」と声が聞こえた。
 振り向くと、翔さんが私の手元をのぞきこんでいた。

『いくらですか?』とお財布を出そうとする彼に慌てて声をかける。

「あの、自分で払います」
「俺に払わせてくれ」
「でも……」

 譲らない彼に戸惑ってしまう。
 すると、翔さんは私を見つめながら言った。

「俺がプレゼントしたら、里帆は日本に帰ってからもこのチャームを見るたびに俺のことを思い出してくれるだろ?」

 その色っぽい声色に、頬が熱くなる。

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