天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
それから翔さんは私を色んな所に案内してくれた。
植物園に、美しい庭園。
閑静な住宅街にある個人の邸宅を改装した美術館。
小ぢんまりとしているけれど歴史を感じさせる教会。
どこも穏やかな空気が漂っていて素敵な場所だった。
心が疲れていた私にとっては、たくさんの人であふれる人気観光地をせわしなく回るよりも、ずっと有意義で楽しい時間に感じた。
小さな教会から出ると、もう陽は傾き空が茜色に染まっていた。
夕焼け空に白い飛行機雲がまっすぐに走っているのが見えた。
「あ……」とつぶやき、同時にパイロットの元恋人のことを思い出してしまう。
「飛行機雲だな」
つぶやきに気づいた翔さんも私の隣で空を見上げていた。
そして横目で私を見下ろす。
「元カレが操縦している飛行機かと思った?」
「まさか!」
食い気味に否定してしまったのは、飛行機雲を見ただけで反射的に尚久のことを考えてしまった自分が悔しかったから。