天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~

 翔さんは動く様子がない。私だけを上の階へ案内してくれるようだ。

「え、あの……」

 戸惑いながら翔さんを振り返る。

「彼女にすべて任せると言ってあるから大丈夫だ」と言いつつ、くすくす笑っていた。

 あの表情は焦る私を見ておもしろがってる。

 怒ってやろうかと思ったけれど、彼のいたずらっぽい笑みを見ているうちに肩から力が抜けた。

 まぁ、せっかくのパリだし、長年付き合ってた彼氏に振られた憂さ晴らしもあるし、たまには思いきり贅沢をして散財してもいいか。

 いつも真面目に仕事を頑張っている自分へのご褒美だと思おう。

 そう割り切ると、この状況が楽しくなってきた。

 フランス語はわからないけれど英語ならしゃべれると伝えると、女性スタッフは英語で会話をしてくれた。

 いろいろ試着をし、黒のシックなひざ下丈のドレスに決めた。


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