天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 無事に東京と北海道を往復し、コックピットから出る。

 外の空気を吸い、ほうっと息を吐きだした。
 ただ座っているだけとはいえ、さすがに一時間半のフライトに連続で乗ると肩が凝った。

 操縦席の後ろで見学しているだけの私ですら疲れるんだから、飛行機を操縦するパイロットの疲労は比べ物にならないだろう。

 ヨーロッパやアメリカへ向かう便なら、フライトは十時間を超える。
 本当にタフな仕事だと思う。体力的にも精神的にも。

 それにしても翔さんの操縦技術の高さには驚かされた。
 フライト中はもちろん、とくにすごかったのは着陸のときだ。

 あんなにも大きな旅客機がふわりと降りるなんて。
 たぶん、座席に座るお客様は、いつタイヤが滑走路に接地したかわからなかったと思う。

 海外の航空会社で働いていた彼を、OJAがわざわざスカウトしたというのも納得だ。

 操縦桿を握る翔さんの真剣な横顔を思い出すだけで、頬が熱くなった。

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