スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
体をなぞる手は太ももから腰へ、そして腹へと上がっていく。たくし上げられたドレスは既に下着を隠しきれていないだろう。
躊躇もなく体をなぞる手に私は初めての快楽を覚えていた。そしてとうとう──。
「あっ、そこは……」
胸元へと辿り着き、ぱっくりと開いているドレスの胸元に直接触れる。そして啓一郎さんはその唇を胸元へと運び、ちゅっ、とリップ音をわざと立てて吸った。
突然の鋭い痛みに私は驚き、ぎゅっと体を固くする。
「……な、なに」
「印、つけちゃった」
「し、るし?」
私は訳もわからず胸元へと視線を落とす。
そこには赤い華が咲いていた。
私はすぐにそれがキスマークと呼ばれるものだと悟る。それと同時に急激に居た堪れなさを感じた。それは自分のコンプレックスを刺激されたからだった。
「俺が送ったドレス……すごく似合ってたんだけど、ひとつだけ後悔したことがあって」
「……?」
「ちょっと胸元開けすぎちゃったかなって、ドレスを着た紗雪を見て思ってさ。こんなんじゃみんなに俺の紗雪を見られちゃうって」
「わ、私のことなんて誰もみないです……ほら、ステファニアさんみたいな綺麗な奥さんだって会場にはいっぱいいたし」
啓一郎さんが考えていたことを照れ臭く思い、ずっと思っていたことを口にする。
私はよく言えばスレンダー──悪く言えば痩せぽっちの体型でそれをずっとコンプレックスに思っていたのだ。
学生の頃は自分の胸の小ささに思い悩んだこともあった。だが啓一郎さんは私の頬をなで、そして華の咲いた胸元にもう一度唇を落とす。
「そんなことない。あの会場の中で紗雪が一番綺麗だった。男たちはみんな紗雪を見ていた。俺、ほんとは苦しくてどうにかなりそうだったよ」
独占欲を露わにする啓一郎さんを見て、私は目を瞬いた。嘘を言っている様子はなく、心臓が跳ね上がる。
これがいつも冷静で完璧な啓一郎さんなのかと驚きを隠せない。彼の意外な一面を知ってしまい、動揺したと同時に嬉しくなった。
もっと知らない彼の姿を見たいと思ってしまった。