Colorful
「私の好きなシャガールだよ。どの作品も愛に溢れていて、いい勉強になった」

彩葉は楽しそうに美術館でのことを話す。その笑顔を見ていると、若葉はどんどん自分の表情が曇っていくのがわかる。

彩葉は若葉より絵を描き始めたのは遅い。しかし、絵の才能を開花させ、何度もコンクールで賞を取っている。一方で若葉は中学生の頃、夏休みの宿題で描いた防火ポスターが選ばれただけだ。

「そういえば、今日って文化祭についての発表があるね。みんな張り切ってた」

彩葉の言葉に若葉は顔を逸らし、「うん……」と頷く。

この学校の文化祭では、美術部は全員でテーマを決めて一つの作品を作る。しかし、美術部部長だけは全員の絵だけでなく、個人で正面玄関に飾る絵も描かなくてはならない。だが、二つの絵を同時に描くのは困難なため、部長が一人後輩を指名して描くのだ。

部長から選ばれるのは、次期美術部部長に相応わしい絵が上手な人だ。そのため、部長から選ばれるということは名誉なことなのである。
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