Colorful
今年は女子部員がとても張り切り、絵を今日まで描いている。何故ならーーー。

彩葉が美術室のドアを開けると、そこでは多くの部員たちが一生懸命絵を描いている。油絵、水彩画、鉛筆画、描いている絵はそれぞれ違うものの、どの絵も上手だ。

そして、絵を集中して描いている部員の中で、チラチラと視線を集めている生徒がいる。癖っ毛の黒髪が揺れ、ダークブラウンの目は集中しているため、細められている。パレットと筆を持つ手は、男子生徒なのに華奢だ。

美術部部長、今年後輩を一人選んで絵を描くことになる男子生徒は密かに「美術部の王子」と呼ばれている。名前は赤木楓(あかぎかえで」。顔は華やかで整っており、口を開かなければ王子と呼ばれてもおかしくないだろう。

「ねえ、鬱陶しいんだけど」

視線に気付いたのか、楓が顔を上げる。その目は王子と言うよりは悪魔のように冷たい目だ。その目で部員たちを睨み付ける。

「まともに絵を描けないんだから、ちゃんと集中しなよ。文化祭で恥かくつもり?」
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