こんなにも愛しているのに〜私はましろ
2章 結婚

ましろと陸都

私は自分が描いていた将来へ一歩近づいた。

医師を目指して、医学部に入学できた。

私の医者になりたいという思いは
この世に生を受けずに、産まれ出てきた弟の出来事がきっかけだ。

あの時
壊れた母を目の当たりにして
一人でも多くの妊婦、赤ちゃんを救いたいという思いから
医師を目指したと言っていい。
最もこれは、物事をきちんと考えることができるようになってからの
話で、幼かったあの頃は、ただただ単に、お医者様になって
自分が助けたいと、単純に思ったに過ぎなかったと思う。

そんな私が
医学部を卒業してすぐに結婚をした。

相手は
西崎 陸都(にしざき りくと)。

父の忌まわしい姿を見るきっかけになった出来事の
最中にいた人間だ。

どういうわけか
高校で再会し、巻き込まれたくもないことに巻き込まれ
彼らの醜い姿も目の当たりにした、その本人と結婚した。

高校では、なるべく関わらないようにしていたが、
同じ大学に通う頃には、彼の中で私という人間は、
仲の良い、同期生以外の何でもないと、私は思っていた。

高校時代に手塚くんから、陸(りく)が私に一目惚れをしたという話を
聞いたことがあるが、陸は他の女の子達とも付き合っていたし
大学に入っても、いつも彼女らしき人がいた。

私は
私に陸が異性として好意を寄せていなければと、彼との付き合いも
気軽にでき、よく、一緒に試験勉強をしたり
同じ講義を隣同士で受けたりと、いいクラスメートの関係を保っていた。

しかし
周りは私の思惑とは違う見方をしていた。

「西崎の彼女。」

「西澤の彼氏。」




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